こんにちは、漫画なんで生きてるかわからない人和泉澄 25歳の感想レビューです。
この漫画は完結しており、全2巻です。
タイトルに比べると内容はそんなに難しくはない(問いかけてくるようなものではない)
虚無感、不安感を感じる人は共感できるかも
この記事はネタバレを含みます
なんで生きてるかわからない人について
本の詳細
タイトル:なんで生きてるかわからない人和泉澄25歳
作者:あぬ先生
Twitter:https://twitter.com/ringoanu
掲載誌:コミックぜにょん
公式サイト:http://www.zenyon.jp/lib/top.php?id=127
(5話まで試し読み可能です)。
あらすじ
勤めていた会社を退職し、ゲームセンターでアルバイトをしながら
生活する和泉澄ちゃんの生活を描くものです。
どこか無気力、どこか天井を感じ、窮屈に。
なんとか頑張って生きている。そんな女の子です。
一定の社会性(友人、バイト仲間)はいますがどこか常に壁を作り
打ち解けれないで自分の殻にこもってしまう。考えすぎてしまう。
感想(ネタバレを含む)
この本は成長物語ではないです。
多くの主人公はこうした境遇を乗り越えて、友人を作り成功し認められ
そして何かを得ていきます。でも現実ってそんな簡単じゃないですよね。
仕事の出来る人、勉強のできる人、スポーツの出来る人。
こうした成功体験がないまま、不安を抱え、挫折をし
ただ頑張ってるのが和泉澄ちゃんです。
生きることがただ頑張ることになってしまっているんですよね。
世の中の99%の人は主人公じゃないですし、
三割の人は仕事も勉強もスポーツもできないでしょう。(当社調べ)
恋人もおらず、社会で挫折し友人は先に進み会うのも億劫に
それでも生きるために働き、予定外の人との会話では不安を感じ。
こういった点に共感を持てる人にはおすすめしたい漫画です。
似たようなジャンルかわからないのですが、
私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!の主人公もこっちも
最初は非常にネガティブかつ友達0という感じでしたが
徐々にお友達が増えてきて社会性を獲得。
なんとなく前述の主人公属性、得る側に回ったのかなと思います。
社会にすでに出ており、学校という枠にもおらず
レールから外れる挫折をした和泉澄ちゃんには
そうした環境はなく、救いは少ないです。
和泉澄のまとう不安

あぬ「なんで生きてるかわからない人」1巻16ページ
頭痛でバイトに休みの連絡をいれようとしている和泉澄ちゃん。
自分も電話は非常に苦手で、休みの連絡はいつもギリギリになってしまっていました。
電話をしたらなんて思うだろうか?なんて帰ってくるだろうか?
まして自分の都合を急に言えるのか。
こうした物を漫画としてくれているのはとても共感できました。
社会に出て感じるのは、相手はそんなに気にしないし、
自分なんかいなくても何とでもなるぐらいなんですけどね。

あぬ「なんで生きてるかわからない人」1巻18ページ
休みの電話一本をいれるだけでこれです。
作中は常に生きづらさ、不安感に満ちています。
知り合いにあってしまったときのモヤモヤ、
休んだ後の仕事のやりづらさ
置いていかれる不安
断るときの気まずさ
こうした感情を理解し、和泉澄ちゃんに共感できることが
作品を楽しめる条件だと思います。
鬱的な作品なのか
一部の方が鬱という表現を使っていたのですが、
私はそうは感じなかったです。
素直にただ生きることを頑張っている和泉澄ちゃんを応援したいと思いました。
それは遠回しに自分への応援にもつながった気もします。
こうやって生きている人はたくさんいて、病的ではないと思います。
世の中の大多数は主人公じゃないでしょう。
生きるだけで大変で頑張っているという人の存在を
なんとなく感じれるか、が感想の違いになると思います。
自分の置かれている境遇、読み手の感情によって感想が変わりやすい
作品なんでしょうね。
ちょいちょいセクシーな和泉澄ちゃん

あぬ「なんで生きてるかわからない人」2巻4ページ
作中は澄ちゃんの日常なので着替えるときは下着になったり
お風呂でたくさん考えたり、結構セクシーにでてきます。
妙に色っぽいです。
こんな子ほっとくやついないだろ!というつっこみは置いといて
化粧をしたらクマが消えるとか
そういう細かな変化は面白かったです。
日常物なんです、一種の。
終わり方がとても清々しかった
作品を起承転結と考えると
主人公の成長とか何かを得ること
言い換えると目的を達成させる所で完結させると綺麗に終わります。
今作では特別な主人公の成長はありません。
ほんの少しだけです。
これからも悩み続けるし、生きづらいでしょうし、
同じようなところでずっと苦しむでしょう。
そこが良かったと思いました。
仮にここで主人公が成長してしまうと
今度は読者が置いてけぼりになってしまうと思います。
ほんの少しに留めることで、清々しく終わる。
読後感が非常によくなっています。
まとめ
わりと強烈なタイトルですが読んでみるととても繊細で面白かったです。
あぬ先生の他の作品も読んでみたいなと思いました。
ただ、読む方によって非常に感想がわかれてる印象があります。
自分の好むジャンルかというのは是非試し読みもできますので
そちらで読んでみてください。
コメント