昔々…あるところに一人のオタクがいました。
友達もいないオタクは一人で机に突っ伏して寝ていました…。
ねえ?チョコいらない?
声をかけてきたギャル。
その日はバレンタインでした(※実話)
ギャルはなぜかオタクにもやさしい
そう思っていませんか!?
妄想かもしれない、思い込みかもしれない、
しかし今世は大ギャルブームである!!!
1.日本のギャルの歴史
言葉の定義としてはギャルは若い女性を指すとされています。
本項においては、1990年代所謂、コギャルというものが登場してからの
文化について触れていきます。
大まかな表にするとこんな感じ。
年代 | 出来事 |
1990年頃 | 安室奈美恵さんブーム、 ファッションを真似る「アムラー」の登場。 茶髪やカジュアルな服装が一般化。 |
1993年頃 | ルーズソックスが流行る、 若年層にもコギャル文化が一般化 |
1996年頃 | たまごっちブーム、篠原ともえさん「シノラー」ブーム。 このあたりから金髪も一般化。 |
1990年代後半 | ガングロブーム、一部はヤマンバ化 極端に日焼けし、髪の毛はハイブリーチをした明るい色 |
1999年頃 | パラパラブーム(第3次)SMAPやコナンが実施。 |
2000年頃 | 浜崎あゆみさんブーム、白ギャルの登場。金髪ブーム。 |
2004年頃 | 倖田來未さんブーム、 露出の多い服装が流行る(サーフ系)。 この頃にmixiがブームとなる。 (情報取得手段の変化)。 |
2006年頃 | age嬢、盛り髪ブーム。 |
2010年頃 | きゃりーぱみゅぱみゅさんや藤田ニコルさんが 流行りの提供者となる。 |
男性目線となることと、詳細な区別をできていなかったため
諸説あるかとは思いますが、あくまでも私個人の区分けになります。
ひとまずお目こぼしください。
(ご指摘いただければ訂正いたします)。
今のギャルイメージは1990年頃より若年層によって作られたものといえそうです。
2.オタクの描くギャルのイメージ
さて、ギャルという単語に込められている
ステレオタイプなイメージについて羅列していきます。
髪色:明るい
肌色:白or褐色
性格:明るく元気、また分け隔てなく接する。自己主張をする。
趣味:カラオケ、プリクラ遊び等積極的。アクティブ。
ファッション:最新の物に詳しい。メイクを常にしている。
異性との距離感:近い。
マナー:悪い、清潔感がない。
勉強:苦手。
あくまでもステレオタイプであり、これが正確かどうかはわかりませんが、
描かれるのはこんな感じのイメージが多いと思います。
(逆に、料理が得意とかで意外性を出すパターンもあります)。
3.いつオタクはギャルを好きになったのか
元々金髪のスタイルのいいキャラクターというのは
昔から割とどの作品にも登場していました。
描き分けや、変身、ハーフ(外国人)等キャラクターに特徴を
つけるためのパターンであり、
このキャラクターたちのコギャル的な部分を
クローズアップすることはありませんでした。
(特徴であり、金髪だからといってコギャルではなかった)。
そもそも昔のオタクにとってのヒロインは
黒髪ロングでおしとやかな清楚系ヒロインが理想でした。
これは女性が怖いもの、未知のものであるから
自分の理想、攻撃性の低いものを据えたかったのではと言われています。
ですので金髪のキャラクターはサブヒロインといった立場で
購入層の広い趣向に答えるために設定されていることが多かったです。
第一次オタクギャルブーム
オタクギャルブームという言い方でよいかあれなのですが、
恐らくギャルをメインに描かれた漫画の最初はGALS!という
りぼんの漫画ではないかと思います。
1999年
GALS!( 藤井みほな)
渋谷で最強のコギャル蘭が天真爛漫に頑張るといった作品です。
1999年コギャルブーム時に連載された作品です。
2001年からは超GALS!寿蘭というタイトルで4クールアニメ化しました。
ただ、これは少女漫画ですので当時の男オタクにどのぐらい影響を
与えたかは未知数です。
(女性の方がトレンドに敏感)。
1997年
GTO(藤沢とおる)
ヤンキー漫画の主人公であった鬼塚英吉が学校の先生となり、
型破りな方法で問題を解決していくGreat Teacher Onizuka(GTO)です。
中学生の担任ですが当時の社会が抱えていた問題を描き
GTOを名乗りだす先生も続出、アニメや実写ドラマにもなりました。
作中では、生徒たちは髪色は控えめながらギャルっぽさがありました。
(単純な指導に従わないといったヤンチャな部分)
また作中に登場する、
神崎麗美は当時のギャルのイメージに近かったです。
髪色は金髪、才女といった設定で、主人公に懐き人気がありました。
登場したのは1998年かな。
髪色は金髪なのですが地毛だったかどうかを思い出せないです。
社会のコギャル化に伴い登場したキャラクターの一人かと思われます。
1999年
宇宙から地球侵略にきた、カエルっぽい宇宙人ケロロ軍曹。
しかし侵略に失敗しドンドンオタクに。
家庭内の地位すら危ない中、どうすれば地球を侵略できるのか。
アンゴル・モア
1巻10話に登場(1999年1月)、たまたま見かけた地球人を
コピーした恐怖の大王な女の子。対象がコギャルだったため
そのまま登場、能登麻美子さんが声優を演じ非常に人気でした。
アニメは2004年放送。
恐らくこの辺がコギャルブームと同時期にコギャルを取り入れた作品です。
第一次オタクギャルブームとしましょう。
この時点ではオタクにとってのギャルはジャンル化するものではなく
一部のキャラクターに与えられている記号だったのではないかと思います。
2000年代
僕の考えではここで少し空きます。
本家のコギャルブームが下火になったのです。
そのため作中にコギャルが登場することは少なくなりました。
あくまでも一時代に発生した文化であり、オタクにとっては
継続するキャラクターのシンボルではなかったのではないかと思います。
2000年代はオタクを囲む環境も大きく変わっています。
すべての人が携帯電話を持つようになり、
またインターネット、SNSが発展し個人発信力が非常に強化されました。
オタクではない人々がオタクが主流であったネットに
流入したことで新しい文化がたくさん生まれます。
(ニコニコ動画やツイッター等)
また、女児向けおもちゃも変化していました。
2004年
オシャレ魔女 ラブ&ベリーでは
ゲーム上のお洒落をカードで楽しめブームがおきました。
同年のアニメふたりはプリキュアでは
ビームではなく肉弾戦で戦うヒロインが登場しました。
子供たちは幼少のうちからよりファッションや恋にスポーツといった
アクティブな物に触れる機会が増えたのをオタクは遠くから見てました。
オタクにとって女性は理解できないもの、
距離を開けてしまう物だったのがインターネットの発展で
オタクは女性はどんなものなのかなんとなく理解する、
文化的な交流があったのではないかと推測します。
(オタクがそうした文化への抵抗が低くなった)。
ツンデレというジャンルが流行ったのもこの時期です。
2005年
釘宮理恵さんの演じるシャナはツンデレの代表格でした。
2006年
この頃より ツンデレというワードは一般化。
オタクは次のステージ、ヤンデレに向かいます。
2005年
SHUFFLE!(Navel)
ヒロインの一人が精神を病んでしまい、お鍋がからなのに
くるくると煮込む、空鍋シーンで人気を呼びました。
2006年
ひぐらしのなく頃に(竜騎士07)
雛見沢における、猟奇的な怪死事件の謎を解く物語
KOOLになりましょう。
2007年
School Days(オーバーフロー)
主人公を巡り病んでいくヒロイン達、
中に誰もいませんよとヤンデレ力を発揮しました。
この辺を見ていくとキャラクターの性格を
シンボルとしてとらえることが強くなった時代であったように思います。
インターネットの発展ですぐに感情、感想の共有ができるようになりました。
また、今までアニメを見ることが馬鹿にされていたのに対して
女性もアニメを見ることを公言するようになりアニメを全員が見る
日本国民総オタクの時代になったと思います。
作品もわかりやすさを重視するように作られるようになっていったように感じます。
また、ツンデレが流行ったことを考えると
オタクが自分で守る黒髪おしとやかな清楚系ヒロインから
自分を引っ張ってくれる、自分の世界を変えてくれるような強いヒロインを
求めていたのかもしれません。
(受け身化)
では2000年代に登場しているギャルキャラクターを見てみましょう。
ガングロたまごちゃん。
というキャラが登場します。
ゲームになりますが、
サンディという妖精がギャルっぽいと話題になりました。
age嬢をイメージしていたのではないかと思われます。
2010年代
さて、アニメは大量に作られ、
コンテンツはさらに大量消費の時代に突入しました。
携帯電話のゲームが登場し今の第二次オタクギャルブームの火付け役は
アイドルマスターシンデレラガールズの
城ヶ崎美嘉、城ヶ崎莉嘉のギャル系アイドル姉妹ではないかと考えます。
(私のモバマスデッキです)。
アイドルマスターシンデレラガールズが稼働したのは2011年でした。
mobageで提供され、もともと人気のあるアイドルマスターシリーズ初の
ソーシャルゲームということで、大ヒットしました。
怪盗ロワイヤル等と一緒にガチャの社会問題を起こしました。
このゲームではアイドルをプロデュースして育成するのですが、
本家のアイドルマスター(アイマス)が13名のアイドルを
育成していたのに対してモバマスでは当初から100名のアイドルが
登場しました。
外見以外にカードに記載されているデータはセリフ程度と少なく、
キャラクターたちはお菓子が好きとか、猫が好きとか、外国人であるとか、ロリであるとか、特徴を一本だけ持たされて戦うという過酷な状況でした。
(各々は特徴をPRするセリフを吐き、プロデューサーが愛着を持つ)。
カードが増えると、あとから猫が好きでもお魚が嫌いだったとか
だんだんと性格に肉付けされていきます。
城ケ崎姉妹は姉が人気ギャルで、妹がお姉ちゃんにあこがれるJCギャルという設定でした。
人気投票で安定して上位を取り続け、二次創作の同人誌等でも人気になりました。
100人も考えないといけないことから性格はとにかく強いシンボルを1個持たせる必要があり、彼女たちにはギャルがピックアップされたのかなと考えます
(なお、このゲーム内にはギャルっぽい子が城ケ崎姉妹以外にもいます)。
31人の生徒の容姿、性格、声優を設定したネギま!が2003年頃、
AKB48が2008年頃と
時代背景として一つの物の提案ではなく、たくさんの商品を提案して
その中から好きに選んでねみたいな商法が始まっていたのかもしれないです。
第二次オタクギャルブーム
ここでやっと第二次オタクギャルブームの話に戻ります。
ざっと出ている作品の年数を見ていると
2017年
ギャルごはん(太陽まりぃ)
ひょっとしてギャルは俺らに優しいのでは? アンソロジーコミック(アンソロ本)
2018年
やんちゃギャルの安城さん(加藤雄一)
青春敗者ぼっち野郎、金髪尻軽ギャルのお気に入りになる(刑部 大輔)
ギャルとオタクはわかりあえない(河合朗)
ギャル騎士アンジェリカ(トリアイナ、Nagy)
ギャル転生 ~異世界生活マジだるい~(佐々木 マサヒト)
ギャル☆クリ!(ラムネ村シュワ太)
キリがなさそうなのでこの辺にしておくのですが
ギャルでkindleを検索したらでてきたものをピックアップしています。
ぽつぽつあったのが、加速しているのが2018年ですね。
本としてギャルを売ったのは教えてギャル子ちゃんが最初で
加速させたのははじめてのギャルなのかなという印象を持ちました。
4.なぜ苦手であったはずのギャルをオタクは受け入れたのか
現代人は疲れている。
2015年ぐらいから「バブみ」を感じる。とか、
「オギャる」といった幼児退行して対象に甘えるといった
ジャンルが流行りました。
(漫画家を目指す主人公が些細な事でもあまえちゃんに甘える漫画)。
現代人は内心甘えたいのかなとか、疲れているのかなと考えます。
ギャル系ヒロインは主人公に対して
積極的に関与してくれる、優しいので嫌わない、怒らないと
黒髪おしとやか清楚系ヒロインの「優しい、怒らない」と
ツンデレヒロインの「積極的に関与、ひっぱってくれる」
のハイブリッドな特徴を持っています。
さらには、主人公に対してすごーいと簡単にほめる。
これは承認欲求が満たされます。
言葉に直すと人気が出るのが当然な気がしてきました。
受け入れられやすいんです。
こう考えてみるとこの20年間で
文化的な歩み寄りがあったとはいえ、オタクはギャルを受容したのではなく
ギャルに対して受動的な救いを求めているのかもしれないです。
本物のギャルは人間ですので、完全な救いはできません。
そのためフィクション、シンボルとしてのギャルに対して求めているのかも。
忘れてはいけないものがあった
2000年代はコギャルブームが下火になり漫画やアニメで見かけなくなった。
としているのですが、この間もギャルが人気があったジャンルがあります。
アダルトの世界です。
年代別に出せれば面白いデータがとれたかもしれないのですが、
見る限りはできそうになくて、有名販売サイトでギャルと検索したところ
11,163本のタイトルがひっかかりました。
20年で割ったとしても年間500本となり、高い需要があることがわかります。
「ギャル オタク」で検索すると37件がひっかかり
古いものだと2009年ぐらいのようです。
元祖の元祖はこの辺かもしれないですね・・・。
表舞台でのブームが終わってもこうした分野でフェチズム、コンテンツとして
取り扱われていたことは、文化の継続、受け入れるための許容に寄与していた
可能性はあるのかなという気がいたします。
5.最後に
今はとにかくコンテンツの消費速度が速いため
ブームもあっという間に始まり、あっという間に終わります。
恐らくギャルブームも1年とか2年とかで終わると思います。
みんな飽きるでしょう。
オタクが求めるハイブリッドな受容をしてくれるヒロインには
ステレオタイプなギャルは相性が良かったんだと今回書いていて思いました。
時に引っ張ってくれて、優しくて、怒らなくて、承認してくれる。
オタクを救ってくれるヒロイン像は今後も人気を持ち守られていく、
ギャルというガワを外しても継続していくんじゃないかという気もします。
今求められているヒロインの条件はこういうことなのかなと思いました。
国民総オタク時代です。オタクも多様な種類に分かれました。
これで全部ひとくくりにはできないのでそこはご容赦ください。
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